なぜチャーチルは。


タイトルC1

何故チャーチルは蝶ネクタイを好んだのか。

(音楽・白い渚のブルース)
チャーチルの蝶ネクタイをよく見てみよう、たいていの場合その結び目は少し曲がっているこれは、
その蝶ネクタイが手結びであることを物語っている。
そして、多少ゆるんでいても解けてしまわないのは、極上の絹地であるからである。

チャーチルの全ての写真を見たわけではないが、ただ一回だけ結び下げネクタイをしている写真がある。
トレードマークである水玉文様の蝶ネクタイではないのである。

ルーズベルト/チャーチルの洋上会談

ルーズベルト/チャーチルの洋上会談

チャーチルらしいのは太巻きの葉巻を左手に持っているところだろうか。
スターリンも軍服姿で紙巻きたばこを口にくわえている。

もう、想像されている方もあるだろう、ドイツのポツダムというところでの写真である。
では、なぜトレードマークである蝶ネクタイを彼はしなかったのか、これは想像であるが、写真の米国大統領のトルーマンが蝶ネクタイをしていたからではないだろうか?
恐らくチャーチルは当日のトルーマンの服装の情報を得ていたのではないだろうか。

勝手な想像であるが。
私もそうであるが、他人と同じネクタイは嫌なのである、被ってしまうのはダンディを自認するチャーチルにとってはなはだ、面白くない事ではないだろうか。
そこで敢えて、潔く結び下げのネクタイをしたのであろうと想像にかたくない。

同時期に、英国では総選挙があってチャーチル率いる保守党が労働党に大敗したのである。
たぶんこの時、心の中で舌打ちし、つぶやいたことだろう
「ああ、あの時、蝶ネクタイさえ結んでいたらなぁ・・・」

ポツダム会談の翌年、チャーチルは、ウエストミンスター大学で講演を行っている、余談であるがこの講演の中で、有名な「鉄のカーテン」という流行語を生みだしている。
ともあれ、同大学での講演には、トルーマン大統領も出席していたのであるが、チャーチルはちゃんと水玉文様の蝶ネクタイを結んでいる。
チャーチルにとって幸運のシンボルはやはり水玉文様の蝶ネクタイなのである。c-1

さて、チャーチルが英国の首相になるのは1940年5月10日である、この首相就任演説でこう言った。

「私には血と労役と涙と汗のほかには何も提供するものはない」

そして当然のごとくウイングカラーのシャツに水玉文様の蝶ネクタイを結んでいたのである。

翌1941年8月14日、英国戦艦プリンオブウェールズ号でルーズベルト大統領と洋上会談を行う、この時チャーチルは金ボタン付きの海軍の軍服に蝶ネクタイを結んでいる。
まったく、蝶ネクタイ信仰の権化ではないかと思うのである。

 

チャーチルはいつ頃から蝶ネクタイを結んだのか?

では、チャーチルはいつ頃から蝶ネクタイを結ぶようになったのか。
1900年頃にはチャーチルは蝶ネクタイを結ぶようになった、議員としての初当選が1900年10月11日、25~26歳ころには、既にハードカラーの襟に蝶ネクタイを結んでいる。

まぁ、晩年まで蝶ネクタイを愛用したということは、計算上70年もの永き間にわたって愛用したことになる。
なんと、70年間も蝶ネクタイ一筋である。これは凄い!としか言いようがない。

さて、なぜ、これほどまでにチャーチルは蝶ネクタイを好んだのか、少し考えてみよう。
なにか手がかりはないものだろうか?c-3

同じように生粋の英国人で同じように蝶ネクタイを好んだ人物に作家のイアン・フレミングいる。
言わずと知れた007ジェームズボンドの生みの親。
では、チャーチルとフレミングになにか共通点はあるのか、年齢差は34歳、もちろんフレミングが若い、そう、ちょうど親子くらいの感じである。
チャーチルはハロー校からサンドファーストに進んでいる。
一方、フレミングはイートン校からサンドファーストに進んでいる。

共通点といえば、これであろう、サンドファースト、地名である。
そこには今も昔も「英国王立陸軍士官学校」がある場所。
普通、サンドファーストといえば、その士官学校を意味する。
つまり二人とも根っからの軍人気質である。178539Bond3others_rgb

チャーチルの若い時の口癖は「一度ナポレオンと戦ってみたかった」であったという。
チャーチルは軍人から政治家に、フレミングは軍人から作家になったという違いはあってが、忘れてならないのは、両者とも良家の子弟であったことである。
もちろん、さらに比べるなら、チャーチルのほうが遥かに良い家柄であった。

MV5BMjIzNzk1Mjg5M15BMl5BanBnXkFtZTcwMDc2NTg2OA@@._V1_SY317_CR11,0,214,317_AL_要するにチャーチルもフレミングも英国の上流階級に属していた。
しかも若いころから徹底的に選良意識(エリートマインド)を叩き込まれている。
士官としていかに兵を導くか、時には兵を守る為、自己犠牲を強いられることもあるだろう。その意味での選良意識なのである。

世の中に「導く者」と「導かれる者」がいることは間違いない。
チャーチルは政治家として国民を導き、フレミングは作家として読者をエンターティメントの世界に導いたというのは、こじつけであろうか。

それはともかく、蝶ネクタイを好む人の中には選良意識があるのはまず間違いないだろう。

※写真/英国戦艦プリンオブウェールズ号でルーズベルト大統領と洋上会談。
※写真/トレードマークの蝶ネクタイとVサイン、太葉巻が似合う。
※写真/007の撮影中のフレミング右から二人目、三人目は言わずと知れたジェームズボンド役のショーンコネリー。
※写真/イアンフレミング、英国紳士らしく蝶タイが決まっている。

(出典・参考/出石尚三/男はなぜネクタイを結ぶのか)

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